吃音の子どもによく見られる発達や情緒の問題を理解しておくべき理由

吃音の子どもによく見られる発達や情緒の問題を理解しておくべき理由は、本人も親も気づいていなくても、家族や周りの人間は、気になったり、気になったりしない場合があるということです。

周りの人々が気づいていないからと言って、それらが、軽んじられてしまってはなりません。吃音が社会的なメッセージとして示されています。吃音の重症度と発現時期に関連して、吃音も他の発達や情緒的特性、そして、コミュニケーションのタイプも考慮されるべきです。

実際に、この全ての情報を活用して吃音のアセスメントを行う必要があります。正確な情報に基づき、早期にカウンセリングや治療を開始し、明確なコミュニケーションのパターンを開発して、吃音を克服することを目指すことが必要です。

吃音は、発語機能を改善するために、行動療法、認知行動療法や、薬物療法に頼らず、教育と環境によって治療することができます。しかし、それにもかかわらず、吃音は、他の人に起こる吃音と異なる「特殊なもの」です。

吃音の子どもによく見られる発達や情緒の問題を理解しておく意味は、まだあるのではないかと考えています。発達障害についての学習の中でも、吃音は、発達や情緒に「問題」を抱えているからこそ起こるという説明がありました。

さらに言えば、この発達や情緒の問題は、吃音を持っている子どもに限られたものではなく、人間関係への適応が難しいという発達や情緒の問題を持っている人なら、大体の人は持っているものです。

そういう意味で、「発達や情緒の問題」の中には、吃音が含まれています。これは、発達とは関係ありません、という教科書の説明を聞いていても、何も感じない人もいますが、子どもやその人を理解する上では、大切な内容だと思います。

そして、これは教科書に書いてあることではなく、子どもと関わり合う中で、教師自身がかみ砕いて理解することだからです。教科書に書いてあればいいというのではなく、どこを分かりやすく伝えているか、という教員としての力量の問題になってくると思います。

吃音の子どもによく見られる発達や情緒の問題を理解しておくメリットは、子ども自身だけでなく保護者にもあります。

発達障害の子どもの多くは、人とのコミュニケーションがうまく取れない、また、自尊心が低い、親や家族を敬遠する傾向があります。これは、その子どもが「自分の話を聴いてくれない」「見捨てられた」と感じ、自ら社会から孤立してしまうというリスクにつながる場合もあります。

また、家族や友人らにとっても「どもり」という症状は、ネガティブな印象や理解をしづらい症状であるため、苦手なコミュニケーションをとらないよう苦慮する場合があります。このように、発達や情緒面でのサポートは吃音をもつ子どもの助けになります。

発達障害を抱えていることは、吃音の特性に合わせ、子どもに配慮したり適応したりすることが発達を促すことにつながるのです。逆にいえば、吃音特性の理解やサポートをすることが子どもを理解することでもあり、本人の発達だけでなく、家族を含めた家庭環境の改善や関わり方にまでつながるのです。

子どもたちの言語獲得や、社会適応を深めるために、吃音の子ども理解は必要です。